香港の大手不動産会社、ワーフ(
00004)が発表した25年12月本決算は、売上高が前年比9%減の109億9700万HKドル、純利益が5000万HKドルの黒字(前年は32億2400万HKドルの赤字)に転換した。
調整後純利益は47%増の41億400万HKドルに拡大。中国本土の開発物件における減損引当金が8億3900万HKドル(前年は20億1800万HKドル)に減少したほか、投資物件の再評価損も36億4100万HKドル(前年は59億9000万HKドル)に縮小したことが最終損益の黒字化に大きく貢献した。また、人民元建ての借入比率向上により実効金利が2.5%(前年は3.7%)に低下し、財務コストが改善したことも利益を押し上げた。
事業別では、主力の不動産投資部門が売上高で3%減の44億9300万HKドル、営業利益で4%減の29億900万HKドルとなった。中国本土のオフィス市場で供給過剰が深刻化し、賃料の下落傾向が続いたことが響いた。
不動産開発部門は売上高が39%減の13億6700万HKドル、営業利益が78%減の1億300万HKドルと低迷。本土での販売収縮が続く一方、香港では「マウント・ニコルソン」の記録的な成約などがあり、香港不動産事業の売上高は前年の約3.5倍となる11億4000万HKドルに急増した。
物流部門は地政学リスクや航路再編による香港の貨物量減少が逆風となり、部門売上高は3%減の21億2800万HKドル、営業利益は12%減の2億7800万HKドルに落ち込んだ。
ホテル部門は香港での大型イベント効果で稼働率が回復し、売上高が6%増加したが、中国本土の消費低迷が重しとなり、営業損益は前年の1100万HKドルの黒字から収支均衡となった。
今後の展望について会社側は、世界的な政治・経済の混迷が深まっており、極めて不透明な情勢が続くとみている。米国の政策動向や国際秩序の再編、中東情勢の緊迫化に加え、米ドル安や金高騰など金融市場の変動が激化。中国本土では、不動産市場の回復遅れや労働市場の停滞、生産能力の過剰が経済の下押しリスクとなっており、さらなる刺激策の導入が不可欠な状況にあるとみている。香港の不動産市場は政府の支援策や資本市場の持ち直しにより回復の兆しが見えるものの、金利変動や在庫の積み上がりといった課題が依然として大きいとした。
同社はAI(人工知能)を第4次産業革命の柱と位置づけ、既存の雇用やビジネスモデルに与える影響を注視しつつ、堅実な財務管理と核心的強みを武器に、不安定な市場環境のなかで業績の安定維持に努める方針だ。