格付け会社のフィッチ・レーティングスは5日、香港コングロマリットの長江和記実業(
00001)について、長期発行体デフォルト格付け(IDR)とシニア無担保格付け、発行済み債券の格付けを「A−」から「A」に引き上げた。格付け見通しは「安定的」とした。
フィッチは格付け引き上げの理由として、長江和記実業が世界各地に分散した港湾、小売り、インフラ、通信の事業ポートフォリオから安定したキャッシュフローを生み出していると指摘。経営陣による慎重な財務運営の実績と財務の柔軟性が「A」格付けにふさわしい信用力を支えていると評価した。
また、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)の安定成長と、資産売却による純有利子負債の圧縮を通じたデレバレッジ(債務圧縮)も、今回の格付け見直しにつながった。フィッチの予測では、EBITDAR(利払い・税引き・減価償却・賃借料前利益)ベースの純レバレッジは2.7倍未満に収まる公算が大きい。ただし、フィッチのデレバレッジ予測には、地政学的な逆風により遅延している港湾事業の売却計画や、グループ企業によるUKパワー・ネットワークス(UKPN)の売却が織り込まれていない。
一方、長江和記実業のパナマ運河港湾事業の運営契約が同国政府によって取り消されたことや、中東で広がる紛争については、同社が被る直接的な影響は限られるとの見方を示した。