2026年の春節(旧正月)を祝う国民的番組「春晩(春節聯歓晩会)」で、ロボットがかつてない存在感を示した。宇樹科技(Unitree)、魔法原子(Magiclab)、銀河通用(Galbot)、松延動力(Noetix)の4社の人型ロボットが出演し、ダンスや武術、コントなどを披露。中国ロボット産業の裾野の広がりを印象づけた。
『毎日経済新聞』によると、とりわけ注目を集めたのは、宇樹科技による武術演目「武BOT」だ。ロボットが片足でのバク転を3回連続で成功させたほか、跳躍板を使って2−3メートルの高さまで跳び上がり、空中で前方や側方に宙返りして着地する高度な動作を披露した。20台超による高速の隊列変換も公開。実現に向けてはシミュレーション環境で1億回超の訓練を重ね、0.1秒単位でリズムを調整したという。
番組では、宇樹科技の人型ロボットが、「酔拳」を演じる場面もあった。酔拳は、中国武術の一種で、酒に酔ったように体を揺らし、よろめく動きを見せながら相手を攻撃する独特の拳法。崩れそうで崩れない重心移動や不規則な足運びが特徴で、高度な身体制御が求められる。
演目では、その酔拳の動きの中でロボットが途中で転倒する場面があり、SNS上で不具合ではないかとの憶測も広がった。だが宇樹科技の王興興CEOらによると、これは意図的な演出だった。倒れた後に自ら立ち上がる動きで酔拳特有の「酔っているようで実は隙がない」という世界観を表現し、機体の機動性や安定性を際立たせる狙いがあったとしている。
経済効果も大きい。『毎日経済新聞』によると、放送開始から2時間で、中国のEC大手JDドットコム(
09618)におけるロボット関連検索数は前月比300%超に増え、注文数も150%増加した。放送終了後には、魔法原子や宇樹科技の製品が数分で完売。銀河通用の汎用ロボット「G1」(1台約63万元)も2台が即座に売り切れたという。
王CEOは、2026年の世界の人型ロボット出荷台数が数万台規模に達するとの見通しを示し、自社として1万−2万台の出荷を目指す考えを明らかにした。