
| 2026-02-12 |
中国/政策/電力・ガス |
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中国、全国統一電力市場を整備 30年に基本完成、35年全面構築へ
中国国務院弁公庁は11日、「全国統一電力市場体系の完備に関する実施意見」を発表した。電力体制改革を深化させ、新型エネルギー体系に対応した市場・価格メカニズムを整備し、電力資源の市場化による全国的な最適配置を進める方針を示した。
ロードマップでは、2030年までに全国統一電力市場体系を基本的に完成させ、市場取引電力量の比率を国内総電力消費量の70%前後へ引き上げる。電力スポット市場も本格稼働させる。2035年までには体系を全面完成させ、電力量や調整力、環境価値、容量など電力の多角的な価値を市場価格に反映し、エネルギー資源の最適配置を全国規模で実現するとした。
市場の一体化では、省をまたぐ取引と省内取引の融合を進め、地域間の市場障壁を取り払う。条件が整い次第、「全国電力取引センター」の設立を検討し、登録手続きの一元化を目指す。クリーンエネルギーの送電比率を高めるため、送電網やネットワーク整備も進める。
市場機能の面では、2027年までに電力スポット市場の本格稼働を基本的に実現するほか、中長期市場では年・月・日単位の柔軟な取引を可能にする。周波数調整や予備力などの補助サービス市場を整備し、石炭火力や蓄電池などの安定供給能力を評価する容量料金制度(キャパシティ・メカニズム)も整える。再生可能エネルギーの環境価値を示すグリーン証書(緑証)を基礎に、グリーン電力市場の拡大と国際基準との整合も進める。
市場参加の拡大では、風力や太陽光など新エネルギーの参入を促進し、分散型電源の直接取引を支援。石炭火力、ガス火力、水力、原子力も段階的に市場化する。需要側では高圧受電(10kV以上)の産業用・商業用ユーザーによる直接取引を推進し、小売市場の価格伝達を円滑化する。仮想発電所(VPP)やスマートマイクログリッド、デマンドレスポンス(DR)など新規プレイヤーの参入も後押しする。
制度面では市場ルールの統一を図り、地方独自ルールを国家基準に合わせるよう指導。需給に基づく価格形成を原則とし、地方保護や市場分断、価格カルテルなどを厳格に監視する。データ標準化や信用評価制度の整備も進める。
リスク管理では、突発的事態に備えた政府介入の条件や手順を明確化した緊急対応制度を構築。第三者機関による評価制度を設け、各地の市場整備・運用状況を横断的に分析・公表し、制度の継続的改善につなげる方針。
背景には、再生可能エネルギーの急拡大に伴う電力需給の変動性の高まりや、地域ごとに分断された電力市場の非効率がある。中国では省単位の運用が中心で余剰電力の広域融通が進まず、送電制約や価格のゆがみが課題とされてきた。政府は全国統一市場の整備を通じて電力の広域最適配分を進め、風力・太陽光の導入拡大と電力安定供給の両立を図る狙いがある。