2022-09-22 |
中国/業界動向/その他 |
|
中国企業、インフレよりもゼロコロナの脅威上回る=S&P
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は最新リポートで、中国企業にとってインフレよりも中国当局の「ダイナミック・ゼロコロナ」の脅威が上回っていると指摘した。中国が経済成長目標の達成と厳格な防疫措置とのバランスを探るという厳しい過程で、企業の体力の回復には時間が掛かるとの見方を示した。『香港経済日報』が22日伝えた。
S&Pの大中華圏企業信用研究の張積豪・首席アナリストは、世界のほかの国や地域がインフレの対処に専念するなか、中国の注意力は防疫措置に集中していると指摘。ただ、ウイルスの感染力は強まる一方で、「根絶」を目指す中国の目標とぶつかり合っているとした。2020年の新型コロナウイルスの感染第1波の後、中国経済は急回復をみせたが、22年に入ってから度重なる感染拡大と行動規制が各地方と企業の回復を遅らせたほか、不動産市場の低迷を深刻化させたとの見方を示した。
張アナリストは、中国当局がより大規模な刺激策を打ち出す可能性があるものの、「ゼロコロナ」が防疫措置の中核に据え置かれるなかで、刺激策の効果は鈍くなると指摘。特にサービス業や娯楽業、不動産業、交通輸送業など、外出と消費に頼る業界のリスクが顕著になっているとした。
中国はほかの大多数の国と異なり、国内で深刻なインフレが起きていない。張アナリストは、生産者物価指数(工業製品出荷価格:PPI)上昇率の低下に伴い、中国企業にとって、インフレによる純利益の下押し圧力により、ゼロコロナ政策が売り上げに与える打撃のほうが先行きへの脅威が大きいとした。