ロイター通信は4日、トランプ米政権がアント・グループ(
06688)に対する禁輸措置を中止したと報じた。消息筋によると、米国務省は先月、アント・グループの新規株主公開(IPO)に米国の投資家が参加できないようにするため、同社を事実上の禁輸リストに入れるよう提案した。しかし同社を傘下に抱えるアリババ集団(
09988)のマイケル・エバンス社長が同リストを管轄する米商務省のロス長官に同提案を拒否するよう電話で要請。ロス長官は米大統領選前にウオール街と敵対し、訴訟を起こされる可能性を懸念し、要請を受け入れたという。
もっとも、アリババ集団の通販サイト「淘宝網(タオバオ)」は偽物が多いという理由で米通商代表部(USTR)の「悪名高い市場」リストに加えられている。ある関係者は、ロス商務長官の決定はアリババの事業がすでに制裁対象となっていることを考慮したものであり、エバンス氏の電話は影響していないとの見方を示した。
アント・グループと米国務省はコメントを控えている。同社が5日に香港と上海で行う予定だったIPOの調達規模は史上最大になる見込みだったが、中国当局が3日に差し止めを決めた。