21日の香港市場は神経質な展開か。米通商政策や中国金融政策に不透明感が強まるなか、相場の方向感は乏しいと予想する。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は20日、ポルトガルで欧州中央銀行(ECB)が開いたフォーラムで利上げ継続に積極的な姿勢を示すと同時に、貿易摩擦の激化が世界経済に与える打撃に懸念を表明した。同日、トランプ米大統領が新たな通商合意について早急に発表する意向を明らかにしたと伝わった。合意の相手国には言及しておらず、内容を見極めたい投資家が積極的な売買を見送る可能性がある。20日のNY株式相場はダウ平均が7営業日続落だったものの、ハイテク株主体のナスダック総合は反発し、4営業日ぶりに史上最高値を更新した。
一方、中国では19日に本土株式相場が急落したことを受け、中国人民銀行(中央銀行)が追加の預金準備率引き下げに踏み切るとの観測が浮上している。国務院(内閣に相当)が20日開いた常務会議で、中小企業の資金繰り支援を目的に「預金準備率引き下げなどの政策手段」を用いる措置などを決めた。人民銀が19日に中期貸出制度(MLF)を通じて2000億元を商業銀行に供給したことについても、市場では「預金準備率引き下げへの地ならし」(香港経済日報)との見方がある。
20日の香港株の米国預託証券(ADR)は高安まちまち。欧州の銀行最大手HSBC(
00005)や香港系不動産デベロッパーの新鴻基地産(
00016)、消費財株の恒安国際集団(
01044)が香港終値を上回った半面、中国IT大手のテンセント(
00700)、アジアの生保大手のAIAグループ(
01299)、本土系不動産デベロッパーの中国海外発展(
00688)が下回って引けた。なお、きょうは化粧品小売チェーンのササ・インターナショナル(
00178)が2018年3月本決算を発表する。