29日の香港市場で、中国ネット通販最大手のアリババ集団(
09988)が安い。株価は日本時間午後0時24分現在、前日比5.55%安の93.65HKドルで推移している。創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が金融会社アント・グループの支配権を手放すと伝わったことで、アント・グループの新規株式公開(IPO)が遠のけば同社株を保有するアリババ集団にとってネガティブとの見方から売りが膨らんだもよう。
英紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は28日、消息筋の話として、馬氏はアント・グループの出資持ち分を減らして支配株主ではなくなることを検討していると報じた。アリババ集団とアント・グループの関係の希薄化が目的という。
アント・グループは2020年11月に上海市場の新興企業向け市場「科創板」と香港市場で同時IPOを予定していたが、直前に当局から差し止められた。その後、中国当局から金融事業会社に対する規制に準拠した経営形態への転換を求められている。馬氏の今回の動きは当局の指導に対応したものとみられるが、支配権に変更があればIPOの時期が遠のく可能性がある。
中国証券監督管理委員会(CSRC)は、企業の支配株主が一定期間に変わっていないことを、上場申請を認める条件の一つとしている。上海市場のメインボードに上場しようとする企業の場合、上場前の3年間は支配株主が変動していないことが必要。変動禁止期間は上海市場の科創板への上場なら2年、香港市場なら1年と規定されている。この規定に従えば、馬氏が支配権を手放したアント・グループはIPOまで数年待たねばならないことになる。