HSBCグローバル・リサーチは最新リポートで、今年8月以降、相互取引制度を通じて香港株に投資する「南向き資金」と中国本土株に投資する「北向き資金」の差が拡大していることについて、人民元相場の下落見通しのほか、香港株の割安感や収益率の高さが背景にあるとの見方を示した。『香港経済日報』が9日伝えた。

　HSBCは、「南向き取引」の対象となっている8銘柄を選好。具体的には、BYD（01211）、理想汽車（02015）、中信建投証券（06066）、海吉亜医療（06078）、翰森製薬（03692）、華潤ビール（00291）、敏華控股（01999）、小米集団（01810）の8銘柄をピックアップした。

　香港株にプラスに作用するシグナルとして、世界的な金利動向、人民元の相場見通し、企業の利益成長、政策支援の4つを挙げた。うち、企業の利益成長については、耐久消費財セクターと金融セクターが指数に占める割合が比較的高く、全体を牽引すると予想。また、医療・ヘルスケアセクターと耐久消費財セクターの向こう1年の増益率は20％に達するとみている。一方、不動産市場の低迷が金融や素材などのセクターの足を引っ張るものの、24年以降は上向くと予想。ただ、19年の水準を完全に回復できるセクターはないとみる向きが強いとした。