中国ネット業界の2大巨頭、アリババ集団(
09988)とテンセント(
00700)が14日、そろって26年1−3月期決算を発表したが、同日の香港株式市場では両社の株価が逆行。アリババ集団株が前日比3.8%高と、全体相場をアウトパフォームする半面、テンセントは小幅安と明暗を分けた。決算内容というより、先行き見通しに対する評価が分かれたためで、アリババ集団に関しては決算発表直後から目標株価の引き上げが相次いだ。
アリババ集団の1−3月期の調整後利益は市場コンセンサス予想を大きく下回ったが、市場が注目したのはクラウドサービス事業をはじめとするAI関連ビジネスの先行き見通しであり、この点では明確に前向きの評価を得た。同社経営陣によると、中でも急成長が期待できるのは「MaaS(モデル・アズ・ア・サービス:AIモデルを共有リソースとして提供するクラウドサービスモデル)。MaaS の1−3月期のARR(年間経常収益:年率換算の売上高)は約80億元だったが、年末には300億元へ急拡大する見込み。高利益率のMaaSのウエートが上向くことで、2027年度第1四半期(26年4−6月)のクラウド事業の増収率は44%に加速する見通しという。
◆アリババ集団、AI関連ビジネスの高成長見通しが明確
モルガン・スタンレーは決算発表後のリポートで、アリババクラウド(阿里雲)の主要業務指標が全面的に予想水準をクリアしたと報告。向こう2四半期でクラウド事業の利益率が大きく拡大し、同社全体の利益押し上げに寄与するとみて、ADR(=8株)の目標株価を6%引き上げ、190米ドルに設定した。引き続きアリババ集団をセクターのトップピック銘柄としている。
アリババ集団にとって、収益の足かせはECの即時小売事業の赤字だが、モルガン・スタンレーは1−3月期の約180億元から、4−6月期には150億元に縮小するとの見方だ。
このほか、シティグループはアリババ集団の1−3月期決算をまだら模様としながらも、AI事業の爆発的成長に注目。AI関連のクラウド売上高が11四半期連続で3桁の伸びを記録したことを高く評価し、27年3月通期、28年3月通期の調整後純利益予想を3.6%、3.4%上方修正。目標株価を204HKドルから207HKドルに引き上げ、「買い」の投資判断を継続した。
また、JPモルガンはアリババクラウドの主導的地位と業界をリードする成長ペース、利益率に関する可視性などがさらに明確になったと指摘。その成長率は少なくとも北京智譜華章科技(
02513)に匹敵し、絶対規模でははるかに大きいとしている。
◆業績堅調も株価調整が続くテンセント、巨額のAI投資が懸念材料
一方、テンセントの1−3月期の売上高は9%増、純利益は21%増。調整後純利益は市場予想をわずかに上回った。ゲーム、広告、クラウド事業の業績だけでなく、フリーキャッシュフローも堅調だったが、同社株は決算発表当日に、アリババとは対照的に小幅に調整。1月半ば以来の株価の下落基調が続き、一部には目標株価を引き下げる動きが見られた。その理由は明らかに、「巨額のAI投資」に対する警戒感。『香港経済日報』は1−3月期の資本支出(現金支出)が370億元へ急拡大した点に注目し、年率換算では1200億−1480億元に上る可能性を指摘している。
ただ、同紙は金額そのものより、「巨額のAI投資にもかかわらず、利益とフリーキャッシュフローが堅調に伸びている点」を重視。これは字節跳動(バイトダンス)のフリーキャッシュフローの縮小、大幅減益とは対照的だと指摘している。さらにAI新製品への投資を除けば、テンセントの中核事業の営業利益が1−3月期に前年同期比17%増の844億元に達したことに注目。その安定的な収益成長力を高く評価している。
大和証券キャピタル・マーケッツはAIへの投資負担を理由に、テンセントの2026−28年の予想EPSを2−4%下方修正し、目標株価を700HKドルに引き下げたが、「買い」の投資判断を維持。AIの収益化スケジュールを論じるのは時期尚早としつつも、AIへの積極投資と能力については前向きに評価するとした。
シティグループも今回、テンセントの目標株価を引き下げたが、証券各社の最新目標を見ると、強気、弱気が混在している。ドイツ銀行が800HKドルに設定する半面、JPモルガン、モルガン・スタンレーが設定した目標株価は690HKドル、650HKドル。ただ、いずれも現時点では、「買い」「オーバーウエート」など強気の投資判断を付与している。