中国では26年の旧正月シーズンも旅行市場が活況を呈しているが、新春の祝賀活動において、一躍主役級の存在感を発揮したのがAIやヒト型ロボットだ。うちAIアシスタントアプリ分野ではお年玉キャンペーンによるユーザー獲得競争が激化。その結果、字節跳動(バイトダンス)傘下の生成AIチャットボットアプリ「豆包」、アリババ集団(
09988)のAIアシスタントアプリ「千問」と、傘下のアントグループの健康管理アプリ「阿福」、テンセント(
00700)の「元宝」という4つの人気アプリが、アップルApp Storeの人気ランキング上位に顔をそろえた。
最新データによれば、このうち首位に躍り出たのは「豆包」。中国国営テレビ局CCTVの恒例の年越し人気番組「春節聯歓晩会」(春晩)と連携し、大晦日(2月16日)にAIインタラクティブイベントを展開。同時に宇樹科技(Unitree)のロボットや深セン市大疆創新科技(DJI)のドローン、上海汽車やアウディ、ベンツ製EVなどの景品が当たるお年玉キャンペーンを行った。その結果、16日の「豆包」のインタラクション数は19億回を記録。新春祝賀メッセージは1億件を超えたという。
CCTVは今回初めて、「春晩」に「AI駆動型のリアルタイム創作」という理念を導入。祝福メッセージを生成し合うなどの全民参加型のAI創作活動を番組に融合させた。それだけでなく、ロボット企業4社、松延動力科技(Noetix Robotics)」、宇樹科技、魔法原子(MagicLab)、銀河通用機器人(Galbot)のヒト型ロボットがステージ上に登場し、それぞれ拳法やアクロバットなどのパフォーマンスや、家事(音声対話や衣類を畳む、ごみを拾うなど)技能を実演。ネット上では「ロボットが春節晩会を全面侵攻した」と話題になったという。
その効果で、ECプラットフォーム大手のJDドットコム(
09618)では、同番組の放送から2時間後までに、ロボット製品の検索数が前月比300%増加。注文量は150%増を記録したとの情報が伝わっている。
◆CCTVがバイトダンスと提携、「春晩」で視聴者参加型AIイベント
バイトダンスはこの旧正月大晦日にCCTVと連携したが、一方のアリババ集団は4大地方局(東方衛視、浙江衛視、江蘇衛視、河南衛視)の春節特別番組の独占冠スポンサーとなり、番組内に「AI俳優」を投入。さらに「千問」アプリを通じ、リアルタイムで高額のお年玉景品を付与するなどのキャンペーンを行った。「千問」が発表したデータによると、旧正月キャンペーン期間中に全国で1億3000万人以上が初めてAIショッピングを体験。「千問、手伝って」とのワードの入力が50億回を記録したという。
このほか、テンセントの「元宝」は2月1日から10億元の現金プレゼントキャンペーンを展開してきたが、国内メディアの情報によれば、キャンペーンが一段落した18日までにDAU(1日当たり利用者)が5000万人を突破、MAU(月間利用者)は1億1400万人に達した。
◆旅行も人気、海外旅行先はソウルやバンコクが上位に
一方、旧正月休暇中のヒトの大移動も顕在であり、中国国内の人気観光地はどこも恒例の「満員御礼状態」が続いているもようだ。交通運輸部によると、旧正月3日目(初三)となる19日の地域間移動者数は3億3900万人を突破し、前年「初三」との比較で11.5%増。1日当たりの移動者数で、この旧正月期間の最多を記録している。
中国旅行社協会と途牛旅游網が共同発表した『26年春節観光消費トレンドリポート』によれば、この旧正月休暇(2月15−23日の9連休)の旅行市場の特徴は、分散型のオフピーク旅行。9日間という長期休暇とあって、ピークが2度に分かれる傾向だった。また、国内旅行において人気を博している3大テーマは「年越し行事」「氷雪観光」「避寒の保養」。穴場の小都市や地方での宿泊予約が大幅に増加するなど、ニッチ志向も目立ったという。
海外旅行を見ると、人気の旅行先は韓国やタイ。旅行予約プラットフォームの同程旅行(
00780)が1月下旬に発表した「26年春節旅行トレンドリポート」によれば、海外(域外)の人気旅行先トップ10から日本は姿を消し、韓国ソウルが首位。以下、タイのバンコク、シンガポール、マレーシアのクアラルンプール、香港という顔ぶれとなっている。