米テスラ(TSLA)による人型ロボット「オプティマス(Optimus)」の量産化に向けた最新情報が伝わる中、中国本土・香港市場ではロボット関連株が買われる展開となっている。中国を代表する人型ロボットメーカー、宇樹科技(Unitree Robotics)がこれより前に、トレーニング用コードを全面オープンソース化した影響もあり、今後は人型ロボットの商用化が今後さらに加速し、関連産業チェーンが爆発的成長期を迎えるとの期待が一段と高まった。
『香港経済日報』はロボット産業チェーンを分析した上で、自前のEVと人型ロボットとの融合を目指す小鵬汽車(
09868)、AIソフトウエア開発会社である北京第四範式智能技術(
06682)、協働ロボットメーカーの深セン市越疆科技(
02432)に注目している。
◆中国の人型保有台数は30年に25万台=モルガン・スタンレー予測
中国の人型ロボット開発は世界の最先端を走っており、将来的な国内需要に関しても楽観見通しが強い。モルガン・スタンレーによれば、中国の人型ロボット保有台数は30年に25万2000台、50年には3億台に達し、世界保有台数の約3割を占める見通しという。
この先の発展に向けた業界全体の追い風の一つは、テスラの第3世代モデル「オプティマスV3」が手(指と手首)の器用性とAI脳のアップグレードに焦点を当て、量産化実現に向けた可能性を示したこと。メディアが報じたテスラ関係者筋の情報によれば、25年中には中国の一般家庭向けに投入され、26年には量産を開始。5年以内に年間100万台の生産体制を整える計画とされている。
また、宇樹科技にとって、初のオープンソースの世界モデルである「UnifoLM-WMA-0」の動作アーキテクチャは汎用のロボット学習向けに設計されており、複数のテック大手が相次ぎこれを活用した開発分野に参入済み。業界の商業化ペースの加速への期待が、人型ロボットセクターに対するもう一つの追い風となっている。ちなみに宇樹科技は上海「科創板」への上場を計画しており、年内にIPO申請を行う計画。この注目のIPOに向け、ロボットテーマに対する熱気がこの先さらに高まる可能性がありそうだ。
◆EVメーカー小鵬汽車が有力、10月に「第5世代」発表へ
『香港経済日報』によれば、中国のロボット産業チェーンの上流は、減速機、サーボモーター、コントローラー、スマートチップ、センサー、バッテリーなどを含むコア部品の供給分野であり、技術的なハードルの高さと研究開発集約型であることが特徴。人型ロボットの開発と量産化、商用化において、この上流部門には真っ先に恩恵が及ぶ。香港上場の代表的な銘柄は北京第四範式智能技術や地平線機器人(
09660)など。
一方、産業チェーンの中流はロボット本体の製造とシステム統合。深セン市優必選科技(
09880)、深セン市越疆科技がこのカテゴリーの代表的な銘柄となる。また、下流はターミナルアプリケーションおよびサービスであり、例えば製造業、医療、物流にプラス効果が及ぶ。小米集団(
01810)や小鵬汽車がこの分野に属する。
香港上場銘柄を個別に見ると、本土の新興EVメーカーの1社、小鵬汽車が有力。同社のロボット事業の優位性は、主力のEVとの融合という点にあり、開発プロセスも着実に進行中だ。人型ロボット「Iron」はすでに工場での実施訓練段階にあり、生産作業に係わることが可能という。また、テスラの「オプティマス」を強く意識しているとされる第5世代モデルは10月24日の「小鵬テクノロジーデー」で初公開される予定。26年下期に量産化を実現する計画が明らかになっている。
◆協働ロボットの深セン市越疆科技、人型「DOBOT Atom」発表
小鵬汽車は主力のEV販売も好調で、8月月間の納車台数は前年同月比169%増の3万7709台と、月次で過去最高を記録した。市場コンセンサス予想では、同社の25年通期の調整後1株当たり損失は0.83元に縮小し、26年には1.28元の調整後黒字に転じる見込み。27年には前年比115%の大幅増益が予想されている。アナリストらは同社に対して強気であり、直近では交銀国際、中国銀河国際、国盛証券がそれぞれ、目標株価を134.69HKドル、128.4HKドル、127.4HKドルの強気水準に設定した(19日終値84.15HKドル)。
一方の北京第四範式智能技術は中国を代表するAI技術プロバイダー。幅広い業界向けにエンドツーエンドのAIソリューションとアプリケーションを提供するが、同社の技術はロボットのスマートOSとしても機能し、作業効率の向上に寄与する。交銀国際、華泰証券、大和証券は直近リポートで、同社の目標株価をそれぞれ81HKドル、77.89HKドル、74HKドルに引き上げ、いずれも「買い」推奨を継続した。
また、深セン市越疆科技は協働ロボットの有力企業であり、同社製品はすでに製造、商業小売(バリスタや調理、鍼灸など)、医療手術などの分野で応用されている。25年3月には人型ロボット「DOBOT Atom」を発表し、予約販売を開始。今後は機能と応用シーンを拡大し、浸透率と競争力を高める方針を示した。直近では大和証券が同社の目標株価を65.5HKドルに設定。「買い」の投資判断で同社株のカバレッジを開始している。
