9月の招福銘柄は、中国当局による企業統制強化がさまざまな業種に及ぶなか、前月に続きネット系銘柄を避けて政策リスクの低いと考えられるセクターから選んだ。まずは都市ガスを主力するとする公益セクターから北京控股(
00392)、食品・飲料セクターから乳製品メーカーの中国蒙牛乳業(
02319)をピックアップ。メーカー向けにカメラモジュールを供給するQテクノロジー(
01478)も政策リスクの低い銘柄といえる。このほか、国慶節連休のマカオ訪問客の増加に期待してサンズ・チャイナ(
01928)、テクニカル的な株価の上昇を期待して中国アルミ(
02600)も選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■北京控股(00392):政策リスクの低い公益銘柄、バリュエーションも割安
株価:26.8HKドル(8/31終値)
【北京市政府系の公共事業会社】IT系のプラットフォーマーや教育セクターなどに対する中国政府の締め付けが強まる中、政策リスクの低い公益銘柄として選んだ。主力事業は売上高と利益の7割超を占める都市ガス事業。バリュエーションは割安で、21年予想PERは4倍台にとどまる。都市ガス銘柄である新奥能源(
02688)の20倍、華潤ガス(
01193)の17倍に比べて割安感が意識されやすい。業績見通しも良好で、ファクトセットの市場予想では21年12月本決算の純利益は前年比52.4%増の80億5700万HKドル。業績は20年に悪化したが、回復力は強く、2年ぶりに最高益を更新するとみられている。
■Qテクノロジー(01478):足元の業績好調、政策リスクの低い銘柄として着目
株価:13.64HKドル(8/31終値)
【中国の携帯端末部品メーカー】中国政府が消費者向けの独占行為に対して厳しい姿勢を示すなか、政策リスクの低い銘柄として着目した。8月に発表した21年6月中間決算は 6%増収、70%増益と好調で、21年12月本決算では市場予想で43%の増益が見込まれている。今年の出荷目標は3月に30%超増加から25%超の増加に下方修正しているが、製品の高付加価値化や生産効率の向上などで粗利益率は大幅に改善した。株価は直近7月の高値から2割超下落しているが、子会社の深セン創業板上場計画の進展など新たな材料が出てくれば株価の刺激材料となる可能性がありそうだ。
■サンズ・チャイナ(01928):国慶節連休のマカオ訪問客の増加に期待
株価:24.95HKドル(8/31終値)
【米サンズ社のマカオ子会社】国慶節連休にマカオ訪問客の増加への期待から買われやすいか。中国本土で7月から8月半ばにはデルタ株の影響で新型コロナの感染が再拡大したものの、足元では市中感染者が1桁かゼロの日が続いている。このまま感染状況が落ち着けば、国慶節連休は旅行者の増加が見込めそうだ。マカオ当局が広東省からマカオへの渡航規制を8月23日から緩和したことを受け、本土からの訪問者数は早速、規制強化前の水準に回復。オンライン旅行会社でマカオ旅行商品の予約が増えているとも報じられた。サンズ・チャイナのカジノリゾートはエンターテインメントの要素が大きく、一般客が集まりやすいと予想する。
■中国蒙牛乳業(02319):リスク回避の買いや健康志向の高まりに期待
株価:46.75HKドル(8/31終値)
【中国の乳製品大手】中国当局がネット企業や教育関連企業を中心に企業統制の動きを強めており、次の「標的」を巡って不確実性が高まるなか、政策リスクが比較的低い銘柄として注目を集めそうだ。また、世界各地では新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、健康志向の高まりを背景に機能性食品の売り上げ増加にも期待がかかる。21年6月中間決算は純利益が2.4倍の29億4700万元に上り、市場予想を上回る好決算となった。会社側は市場のニーズを受けてハイエンド製品やオーガニック、低脂肪、低糖などの製品を強化していく計画を明らかにしており、収益力の向上も期待できそうだ。
■中国アルミ(02600):アルミ価格が高止まり、ゴールデンクロス出現で上昇トレンド維持へ
株価:5.64HKドル(8/31終値)
【中国のアルミ大手】好調な中間決算を受けて株価は18年1月以来の高値で推移しており、今後もアルミニウム価格の高止まりを背景に株価の上昇トレンドが維持されると判断。同社の株価は前年11月ごろから上昇トレンドを形成していたが、21年6月中間決算で純利益が86倍となったことを受けて、上昇幅をさらに拡大。短期の5日移動平均線が中長期の25日移動平均線や75日移動平均線を上回り、ゴールデンクロスが出現している。中国当局が金属価格の高騰を抑制するため、9月1日に3回目となる金属備蓄の放出を行う予定だが、市場はすでに株価へ織り込んでおり、短期的にアルミニウム価格が暴落する可能性も低いと考える。