BofAセキュリティーズ(BofAS)は最新リポートで、テンセント(
00700)が2026年に人工知能(AI)モデルの性能向上や計算基盤の拡充で急速に追い上げており、長期的なAI競争の勢力図が変わる転換点を迎えていると指摘した。こうした状況を「ミッドウェー海戦」に例え、競争は終わっていないものの、勢力関係が変わり始めていると分析。投資判断を「買い」、目標株価を780HKドルに据え置いた。現在の株価(約440HKドル)から77%超の上昇余地があるとみている。『信報』が18日伝えた。
BofASは、現在の市場ではクラウドコンピューティングや半導体分野の有力企業に注目が集まっているものの、テンセントのAI関連事業の潜在価値や中核事業の安定性は十分に株価に織り込まれていないと指摘。2026−27年の予想株価収益率(PER)が13倍を下回っていることを理由に挙げた。
テンセントが26年4−6月期にAIインフラへの設備投資を大幅に拡大し、メモリーなどの計算資源を確保するため多額の前払いを実施したと分析。設備投資の大半は中国国内に向けられているとして、26年と27年の設備投資予想を2100億元、2600億元にそれぞれ引き上げた。一方、計算基盤への投資に伴う四半期ベースのキャッシュフロー負担は26年4−9月期にピークを迎え、その後は前払いによる一時的な支出が正常化することで、27年の営業キャッシュフローは安定に向かうと予想した。
AIモデル戦略では、単純にベンチマークの順位を追うのではなく、モデル性能を高めながら推論コストを抑える方針を採用していると指摘。大規模言語モデル「混元」は開発サイクルが短縮され、今後3カ月以内に「HY4」を投入し、中国国内のより大規模なモデルとの性能差をさらに縮めると予想した。微信(WeChat)のAIアシスタント「小微」は早ければ26年10−12月期に本格展開する可能性があり、基盤モデル「WeLM」は必要な計算資源が少なく、幅広いGPUに対応するため、利用規模が拡大しても推論コストは抑制可能とみている。
AIの商用化では、AIオフィスツール「WorkBuddy」を重要なAI事業の一つに位置付けていると分析。収益化はまだ初期段階だが、ユーザー数の拡大や機能拡充、利用体験の改善に大きな余地があるとした。
一方、積極的なAI投資は中長期的な成長期待を高める半面、短期的には利益を圧迫すると指摘。BofASはテンセントの2026−28年の調整後純利益予想を2−6%引き下げた。今後数四半期に減価償却費が大幅に増加するとみており、27年の純利益は前年並みになると予想している。
BofASは今後の株価支援材料として、◇3カ月以内の「混元」のモデル更新、◇6カ月以内の「小微」の本格展開、◇12カ月以内の「WorkBuddy」とクラウド事業の売上高成長加速――の3点を挙げた。