ゴールドマン・サックスは最新リポートで、中国本土の越境投資を巡る新たな規制や関連報道を背景に、4日の香港市場で銀行・保険株が大きく下落したと指摘した。市場では、新規制が香港事業、特に中国本土居住者向けビジネスの長期的な成長に与える影響が注目されているとした。『AAストックス』が5日伝えた。
ゴールドマンが重要とみる規制は2点。5月22日に中国証券監督管理委員会(CSRC)がオンライン証券に対して下した行政処分と、6月1日に国務院が公布し、7月1日から施行される「対外投資規定」だ。一部報道では、香港の銀行が中国本土の支店で本土居住者向けの香港投資口座開設を停止したと伝えられたが、ゴールドマンは独自のチャネル調査を踏まえ、実態は手続き要件の厳格化にとどまると説明した。対象となる銀行は、資金の出所が合法であり、中国本土以外からの資金であることを顧客に申告させるなど、特に投資口座の審査を強化しているという。現時点で、香港における預金や投資商品の口座開設が広範に停止された事実はなく、越境銀行業務も継続していると強調した。
銀行セクターについては、近年の資産管理関連収入の伸びが目立つと分析した。2026年5月時点で、スタンダード・チャータード(
02888)とHSBC(
00005)では資産管理収入が手数料収入または非金利収入の約34%を占める。このうち、HSBCでは香港部門の資産管理手数料がグループ全体の経常収益の2%−3%に相当し、スタンダード・チャータードでは香港が資産管理収入全体の約40%を稼いでいる。中銀香港(
02388)と東亜銀行(
00023)では、25年通期の証券、資産管理、保険関連の手数料収入が総手数料収入の40%−65%、経常収益の6%−9%を占めた。業界全体としては、資金が実際に投資目的で使われているかを確認するため、顧客確認(KYC)手続きを一段と重視しているとした。
一方、保険セクターでは、AIAグループ(
01299)、プルーデンシャル(
02378)、富衛集団(
01828)といった地域展開型の保険会社について、香港の保険外交員が中国本土で営業活動を行うことは既に禁じられており、販売はすべて香港域内で完結する必要があると説明した。16年には銀聯カードによる保険購入の規制強化や、中国本土からの香港訪問者に対し、実際に香港で契約手続きを行ったことを確認する制度が導入されたが、現行制度に実質的な変更はないという。AIAグループのデータによれば、25年に中国本土からの香港訪問客向けビジネスでは、新規・更新保険料の約90%が、すでに香港の銀行口座にある資金から支払われており、新政策が実務に与える直接的な影響は管理可能な範囲にとどまるとの見方を示した。