CMOSイメージセンサー(CIS、光を電気信号に変換する半導体センサー)市場が成長局面を迎えている。これまで市場を支えてきたスマートフォンなど民生機器向けに加え、今後は産業自動化や医療機器、科学研究向けなど高付加価値分野が新たな成長エンジンになる見通しだ。
長春長光辰芯微電子(
03277)の目論見書によると、世界のCIS市場規模は2024年の1400億元から、2029年には2100億元に拡大する見込み。調査会社フロストサリバンが予測した。1台当たりのカメラ搭載数の増加や高画素化に加え、AI(人工知能)との融合によるセンサーの高度化が需要を押し上げる。
なかでも、これまで市場規模が限定的だった産業・医療・科学分野の成長が目立つ。
医療用CIS市場は、24年の30億元から29年には88億元に拡大する見通し。年平均成長率は24.0%となる。内視鏡や携帯型診断機器の普及を背景に、高解像度かつ低ノイズ性能を備えたセンサー需要が高まっている。
産業用CIS市場も、工場や物流現場でのマシンビジョン(画像認識による自動検査・制御)需要の拡大を受け、29年に78億元規模へ成長する見込み。年平均成長率は21.0%と予測される。
科学研究向けでは、天文学や生命科学、DNAシーケンシング分野で従来型CCDセンサー(電荷結合素子を用いた画像センサー)からCMOSへの移行が進む。29年の市場規模は22億元に達する見通しだ。
競争環境では、少数の大手企業が世界市場を主導している。産業用CIS分野では、ソニーグループが24年に世界シェア33.6%で首位。自動車・産業向けに強みを持つ米オン・セミコンダクター(ON)が18.2%で続いた。長春長光辰芯微電子は15.2%で世界3位に入った。
このほか、科学・航空宇宙分野に強みを持つ米テレダイン・テクノロジーズ(TDY)や、中国の半導体設計大手である豪威集成電路(
00501/
603501)も主要企業に挙げられる。
科学用CIS分野では、テレダイン・テクノロジーズがシェア28.4%で首位。浜松ホトニクスが17.6%で2位となった。長春長光辰芯微電子は16.3%で世界3位、中国勢では首位だった。
CIS技術は今後、単なる画像記録用デバイスから、AIと連携して情報処理や解析を担う高機能センサーへ進化するとみられる。積層型アーキテクチャーの採用により、高速読み出しや高ダイナミックレンジ(HDR)性能も向上。近赤外線(NIR)や短波赤外線(SWIR)など、人の目では捉えにくい波長領域への応用も広がっている。
中国では「中国製造2025」など政策支援を背景に、半導体分野での国産化推進も加速している。自動運転や精密医療、宇宙探査など次世代分野で、CIS技術の重要性は一段と高まりそうだ。