
| 2026-05-21 |
中国/政策/電力・ガス |
|
中国、再エネ電力の直接供給拡大 データセンターなど重点支援
中国の国家発展改革委員会と国家能源局は20日、「多ユーザー向けグリーン電力直接接続の推進に関する通知」を発表した。従来の単一ユーザー向けから複数ユーザー型へと対象を広げ、再生可能エネルギー電力の地産地消を促進する。電力系統の受け入れ余力不足に対応するとともに、AI向けデータセンターなど新興産業の育成につなげる狙いがある。
中国では風力・太陽光発電の導入拡大が続く一方、大規模送電網の受け入れ能力が限界に近づいている。2025年施行の「650号文書」では、発電所から単一ユーザーへの直接供給が認められたが、複数企業で再エネ電力を共同利用したいとの需要には対応できなかった。
今回の通知では、1つまたは複数の再エネ電源から複数ユーザーへの近接供給を認めた。対象は風力、太陽光、バイオマス発電で、石炭火力や原子力は含まれない。
発電事業者にとっては投資リスクの分散につながる。風力発電設備の運用期間は約20年、太陽光は約25年と長期に及ぶ一方、中国の中堅企業の平均寿命は7−8年程度にとどまる。従来の1対1契約では、契約先企業の経営悪化が事業継続リスクに直結していた。
需要側でもコスト低減効果が期待される。110kV送電線の建設費は1キロメートル当たり100万元超とされ、中小企業が共同で建設・維持費を分担することで、再エネ電力を利用しやすくなる。
制度では、発電量の60%以上を自家消費することを求めるほか、利用電力に占めるグリーン電力比率を30%以上と定めた。2030年までに35%以上へ引き上げる方針だ。また、「1時間単位」の電力マッチングを導入し、電力の由来を追跡できる仕組みを整備することで、企業の脱炭素対応を後押しする。
重点支援分野には、人工知能(AI)向けデータセンターなどの算力施設のほか、グリーン水素、グリーンアンモニア、グリーンメタノールといった新興産業を位置付けた。
一方、AI向けデータセンターは安定した電力供給を必要とするため、出力変動の大きい再エネ利用には蓄電池導入が不可欠となり、コスト負担が課題となっている。このため、再エネ発電量が多い時間帯に計算処理を集中させる「算電協同」の推進や、演算用半導体の国産化によるコスト低減、グリーン電力の環境価値を価格に反映する市場制度の整備などが必要との指摘が出ている。
中国政府は、地域配電網の整備や電力市場取引ルールの見直しも進める方針で、再エネの地域内消費拡大と産業構造転換を加速させる考えだ。