汎用人工知能(AGI)の進展を背景に、世界のロボット市場が拡大している。認識や判断能力の高度化が進み、2029年には市場規模が1兆元を超える見通しだ。
深センのロボット企業、深セン楽動機器人(
01236)の目論見書によると、世界市場は2020−24年に1583億元から3690億元へ拡大し、年平均成長率は23.6%に達した。24年の出荷台数は2700万台を上回り、29年には市場規模が1兆元超に達すると見込まれている。成長を支える中核技術が、ロボットの「目」にあたる視覚認識分野だ。
視覚認識システムは、レーザーレーダー(LiDAR)やカメラ、AIを組み合わせ、物体検知や位置把握、周辺環境の理解を可能にする。なかでもLiDARは、インテリジェントロボットの8割超に搭載される基盤技術となっている。関連市場も拡大が続き、ロボット向け視覚認識分野の市場規模は24年の285億元から29年には702億元に伸びる見込みだ。
競争は激しく、上場企業の参入も相次ぐ。視覚認識分野では香港上場の速騰聚創科技(
02498)がLiDARやカメラを供給し、存在感を高めている。
用途別では芝刈りロボットが新たな成長分野として注目される。24年時点で世界の庭園数は2億5000万に上る一方、芝刈りロボットの普及率は2%未満にとどまる。従来のランダム走行型から、複数センサーを組み合わせた高精度の位置測定や経路制御が可能な機種へと進化し、市場拡大を後押ししている。市場規模は24年の61億元から29年には476億元に拡大し、普及率は17%まで高まる見通しだ。
同分野ではナインボット(689009)や科沃斯機器人(
603486)などが参入し、競争を主導している。
今後はハード・ソフト両面の技術革新や、複数のセンサーやデータを統合するマルチモーダル化の進展が市場拡大を後押しする見通しだ。米カリフォルニア州でのガソリン式屋外機器の販売規制や欧州の騒音規制なども追い風となり、電動芝刈りロボットへの置き換えが進む可能性がある。従来型の芝刈り機を全面的に代替した場合の潜在市場規模は3000億元を超えると試算されている。