中国の調査会社、胡潤研究院は19日、人工知能(AI)の計算能力やアルゴリズムを中核事業とする中国企業を対象とした「2025年胡潤中国AI企業50強」を発表した。2回目となる今回は、AI半導体分野の台頭が鮮明となり、米国による先端半導体の輸出規制を背景に、計算能力の自主開発が一段と進んでいる状況が浮き彫りになった。『証券時報』が19日伝えた。
掲載企業の平均価値は、上場企業の時価総額と非上場企業の推定企業価値を合算して540億元と、前年の2.4倍に拡大した。上位にはAI半導体関連企業が集中し、首位の中科寒武紀科技(カンブリコン:688256)をはじめ、摩爾線程(ムーア・スレッド:688795)、沐曦集成電路(メタX:688802)が上位3社を占めた。新規ランクインした18社のうち10社がAI半導体関連で、計算能力分野への投資が急速に集まっている。
中科寒武紀科技は2025年上半期の売上高が前年同期比43倍と伸び、データセンター向け需要の取り込みが進んだ。摩爾線程は汎用GPU(画像処理半導体)の研究開発を進め、沐曦集成電路は設計から製造までの国産化を前面に打ち出す。胡潤研究院は「米国の輸出規制が中国側に計算能力の内製化を促している」と指摘する。
胡潤研究院はAI企業を、人間の能力拡張という観点から6分野に分類。計算能力を担う「心」には中科寒武紀科技などの半導体企業が並ぶ一方、データ分析や意思決定を担う「脳」では晶泰科技(
02228)や北京第四範式智能技術(
06682)、画像認識の「眼」ではセンスタイム(
00020)、音声認識の「耳」では科大訊飛(
002230)が代表例となる。生成AIを含む「手」には月之暗面(Kimi)や北京智譜華章科技(
02513)、自動運転を担う「足」には滴滴自動駕駛や小馬智行(
02026)が入った。
地域別では北京が19社で最多となり、上海14社、深セン6社、広州4社が続いた。上位4都市で全体の8割超を占め、AI関連投資の大都市集中が続いている。上場企業の平均設立年数は12年で、2021年以降に設立された新興企業も6社が名を連ねた。
AI産業の拡大は資本市場にも波及している。中科寒武紀科技創業者の陳天石氏は資産を前年から約1500億元増やし、最新の富豪ランキング「胡潤百富榜」で上位20人に入った。2025年は中国AIにとって分水嶺の年となり、高いコスト競争力を持つ生成AIモデルの登場や新興企業の台頭を背景に、中国製モデルの世界シェアは一時の1.2%から約30%へと拡大した。胡潤研究院は、計算能力の国産化と市場競争の行方が、今後の成長を左右すると分析した。