
| 2026-01-16 |
中国/政策/電子・IT |
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中国、食品ライブコマース規制を強化 プラットフォーム責任明確に
中国市場監督管理総局は16日、ライブコマースを通じた食品販売の安全性を高めるため、新たな規定を公布した。2026年3月20日に施行し、プラットフォーム運営者から配信者個人まで、関与主体の責任を明確化する。急拡大する食品ライブ販売を巡り、虚偽表示や品質問題への監督を強める狙い。
今回の規定の対象は、プラットフォーム運営者、ライブ配信ルーム運営者、ライバー(配信者)、マルチチャンネルネットワーク(MCN:配信者の所属・管理を行う事業者)などのサービス機関の4主体。中核となるプラットフォームには、配信者の実名や住所、連絡先、食品経営許可などの審査・登記を義務付け、少なくとも6カ月に1回の情報更新を求める。食品安全の責任者や担当員の配置、リスク管理体制の構築も必須とした。
ライバー向けの研修も強化する。初回配信前の研修に加え、法律や食品安全に関する年1回以上の定期研修を義務化。違反行為の監視では、技術的なモニタリングやリアルタイム巡回を通じて把握し、発見次第、機能制限やアカウント閉鎖、ブラックリスト登録などの措置を速やかに講じる。
実際に販売・宣伝を担う配信ルーム運営者やライバーには、情報の透明性を求める。アカウント画面への許可証の明示、供給者の許可証や食品合格証明の確認と記録保存(配信終了後3年以上)を義務化。期限切れ食品や虚偽表示、残留農薬・獣薬が基準超過の食品、未検疫の肉類などの販売を禁止した。
宣伝表現にも歯止めをかける。画像フィルターなどによる色調の過度な修正、一般食品に疾病の予防・治療効果を示唆する表現や医療用語の使用、健康食品以外に保健機能があると称する行為を禁じる。
市場監督管理部門は、技術的モニタリング記録を証拠として監督検査を実施する。是正拒否や重大違反には1万元−10万元の罰金を科す。ライバーの違反が職務行為に当たる場合、原則として所属企業が行政責任を負う。
新規定により、中国の食品ライブコマースは、成長と並行して法令順守と安全管理の水準引き上げが求められる。プラットフォーム主導の統制強化が、市場の信頼回復につながるかが焦点となる。
中国では、短尺動画やライブ配信を通じた食品販売が急拡大する一方、誇大表示や品質不良、責任の所在が不明確な取引が相次ぎ、消費者被害が問題となってきた。特に、個人ライバーやMCNが介在する取引では、違反発生時に誰が責任を負うのかが曖昧で、既存の食品安全法や電子商取引法だけでは監督が追いつかないとの指摘があった。
当局はこれまでも是正指導や個別処分を重ねてきたが、プラットフォーム側の管理義務や配信者の行為規範は必ずしも統一されていなかった。今回の規定は、ライブコマースという新たな販売形態を前提に、プラットフォーム、MCN、ライバーそれぞれの役割と責任を制度上明確にし、事後処罰に偏りがちだった監督を、事前管理とリスク抑制に重心を移す狙いがある。
食品は健康被害に直結しやすく、信頼低下が市場全体の成長を損なう恐れがある。当局は規制の明確化を通じて、無秩序な拡大に歯止めをかけるとともに、消費者保護を強化し、ライブコマース市場の持続的な成長環境を整える考え。