香港の電力持ち株会社、中電控股(
00002)は20日大引け後、2022年6月中間決算が赤字に転落する見通しを明らかにした(前年同期の純損益は84億9100万HKドルの黒字)。主因は豪子会社エナジー・オーストラリアが電力市場価格の変動に伴い先物契約での損失を計上すること。22年1−5月期の未監査連結管理会計に基づくと、エナジー・オーストラリアの公正価値損失(税引き後)は72億HKドルに上り、中電控股の営業損失は約37億HKドルを見込む。豪州事業を除けば、中電控股の1−5月期利益は前年同期とほぼ同水準となる。
エナジー・オーストラリアの先物契約は将来の一部の電力卸売価格をあらかじめ決めておくもので、リスクヘッジが目的だった。しかし現在市場で取引されている電力先物価格はエナジー・オーストラリアが先物契約で設定した電力価格を大きく上回っており、この差が公正価値の変動による損失となる。
中電控股は5月16日の公告で、22年1−3月期未監査連結管理会計に基づき、公正価値の変動が同社の税引き後営業利益を25億HKドル下押しする見通しを示していた。しかし同社は、状況の変化に伴い見通しを修正した。最近数週間、大型石炭火力発電所の運転停止に商品相場の高止まりが重なった影響で、豪電力市場で価格が高騰。これに対応し、豪エネルギー市場運営会社のオーストラリア・エネルギー市場オペレーター(AEMO)は6月12日にクイーンズランド州の電力スポット価格に上限を設定したが、15日には電力スポット市場の取引停止に追い込まれた。
中電控股の20日終値は前日比0.41%安の72.55HKドル。