30日の香港市場で中国の自動車・電池メーカー、BYD(
01211)が安い。株価は一時前日比7.60%安の158HKドルを付け、同3.62%安の164.90HKドルで前場の取引を終えた。同社は前日大引け後の2020年12月本決算と21年1−3月期決算の業績予想を発表したが、1−3月期の純利益が20年10−12月期実績を大幅に下回る見通しとなったことに証券各社から懸念の声が上がっている。
BYDは2020年12月本決算報告書で、21年1−3月期決算で純利益が前年同期比77.56−166.34%増の2億−3億元となる見通しを明らかにした。『香港経済日報』によると、 大和証券キャピタル・マーケッツは最新リポートで、1−3月期純利益が20年10−12月期の8億2100万元を大幅に下回ると指摘し、原材料価格の上昇で粗利益率が悪化したとの見方を示した。BYDの投資判断を「買い」、目標株価を290HKドルに設定した。
また、UBSは20年10−12月期の粗利益率が16.6%にとどまり、19年10−12月期の17%を下回ったことに言及したほか、21年1−3月期の業績見通しが弱い内容となり、市場で通期の業績予想を下方修正する動きが広かる可能性を指摘した。投資判断を「売り」、目標株価を144HKドルに据え置いた。
クレディ・スイスは、BYDが示した1−3月期純利益見通しが市場の通期純利益予想の3−5%にとどまったことを踏まえ、2021−22年利益予想を7.5−7.8%引き下げ、目標株価を310HKドルから280HKドルに下方修正した。投資判断は「アウトパフォーム」を維持した。
一方、野村インターナショナルは違う見解を示している。新車の投入や、リン酸鉄リチウム(LFP)車載電池「ブレードバッテリー」の外販拡大、半導体事業の分離上場といった好材料がバリュエーションの向上につながるとみて、投資判断を「買い」、目標株価を300HKドルに据え置いた。
『香港経済日報』がまとめた証券5社の最新レーティングは次の通り。※証券会社、投資判断、目標株価(HKドル)
■シティグループ、買い、349
■野村、買い、300
■大和、買い、290
■クレディ・スイス、アウトパフォーム、310→280
■UBS、売り、144