中間業績の発表シーズンを迎えた8月の招福銘柄は、好業績もしくは業績の改善が見込まれる銘柄などを中心に選んだ。まずは業績見通しの上方修正が続く中国食品(
00506)、石炭価格の上昇で業績改善が著しいエン州煤業(
01171)、中間決算で黒字転換が見込まれるキングソフト(
03888)を選択。このほか、人民解放軍が創設90周年を迎えたことで「軍民融合」のテーマ株から中船防務(
00317)、足元の米ドル安が業績にプラスに働く中国国際航空(
00753)を選んだ。今月はこの5銘柄に注目したい。
■中船防務(00317):「軍民融合」関連株として注目、株価反発に期待
株価:13.46HKドル(7/31終値)
【広東省拠点の造船大手】香港に上場する数少ない軍需関連銘柄として、8月の「建軍節」を迎える中で再び注目される可能性がある。軍需企業の混合所有制改革などを推進する「軍民融合」は習国家主席肝いりの国家戦略。今年は中国人民解放軍の設立90周年記念に当たり、節目に合わせた新たな動きが期待される。中船防務の株価は今年4月、初となる国産空母の進水を前に年初来高値を付けた後、一服感から低迷したが、出遅れ感も加わり再び買いを集める可能性がある。業績に関しては、前年同期が低水準だった反動もあり、17年1−3月期決算は純利益169倍、17年12月期はファクトセットのコンセンサス予想で純利益2.2倍の見通し。
br>
■中国食品(00506):17年6月中間決算や通期見通しの上方修正に期待
株価:3.60HKドル(7/31終値)
【中糧集団傘下の食品メーカー】8月に発表される17年6月中間決算への期待から株価が上昇する筋書きを想定した。同社は今年4月に「コカ・コーラ」のボトリング事業の再編が完了し、5月には「福臨門」ブランドで展開していた食用油事業の全株式を売却すると発表。飲料・ワイン事業の強化による利益率の引き上げを図っている。17年予想PERは26倍とやや割高感はあるが、ファクトセットがまとめたコンセンサス予想では、17年12月期の純利益の上方修正が6月以降続いており、決算発表をきっかけにさらなる業績の見直しも期待される。
■中国国際航空(00753):米ドル安が債務負担を軽減、業績改善見込む
株価:7.06HKドル(7/31終値)
【中国のナショナルフラッグ】米ドル安で業績が改善するとの思惑から買いが入りそうだ。米利上げペースが緩やかになる公算が大きいとされ、主要通貨に対する米ドルの総合的な強さを示すドルインデックスは足元で下落傾向が続く。米ドル債務を多く抱える航空会社は債務が目減りする上、米ドル建て燃料コストが減少する。7月は原油高を嫌気する売りが出て株価を下げたが、NY市場の原油先物価格が節目の1バレル50米ドルを大きく超えて上昇し続ける可能性は低いとみる。17年12月本決算はコンセンサス予想で21%増益と、前年の4%減益から復調する見込み。
■エン州煤業(01171): 業績改善受けて株価は再び8HKドル台に
株価:7.69HKドル(7/31終値)
【中国の石炭大手】6月以降の石炭価格の上昇や夏場の電力需要期を迎えた石炭販売の増加が、株価の一段高を後押しすると予想する。同社は7月末に17年6月中間決算で純利益が5.4倍になる見通しを発表。好調を支えたのは中国の堅調な景気拡大と石炭相場の上昇。供給側構造改革で需給が引き締まってきており、この先も価格上昇が続くと思われる。一方、バリュエーション面では17年予想PERが6.7倍と割高感はなく、同業の中国神華能源(
01088)の11倍に比べても割安水準。株価は昨年春先の2HKドル台からじりじりと持ち直してきており、今月は再び8HKドル台での推移が期待できそうだ。
■キングソフト(03888):中間決算は黒字転換見通し、好業績見越した買いに期待
株価:20.60HKドル(7/31終値)
【中国のソフトウエア大手】6月中間決算の発表を控え、好業績の発表を見越した買いに期待したい。7月末時点で中間決算の最終損益のコンセンサス予想は5億900万元の黒字となっており、前年同期の6億7400万元の最終赤字から黒字への転換が見込まれている。直近1−3月期決算ではゲーム、クラウド、オフィスソフトの主要3部門の売上高はいずれも大幅な伸びを記録したが、17年予想PERは17倍程度と同業他社と比較して目立った割高感はない。このほか、オフィスソフト部門を深セン創業板に分離上場させる計画も進められており、進展があれば刺激材料となりそうだ。