12日の香港市場はもみ合う展開か。米利下げ観測の高まりを受けた前日の米株高が投資家心理を支える一方、上値を追う動きは限られると予想する。11日のNY市場でダウ平均が初の2万7000米ドル台に乗り、5営業日ぶりに過去最高値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が10日に米下院での議会証言で利下げを示唆したほか、11日の上院での証言で改めて早期利下げに意欲をみせた。米利下げ期待から株式市場や新興国市場に資金が流れやすくなる。
ただ、中国本土で来週明けにかけて6月の貿易や金融統計、4−6月期国内総生産(GDP)などが発表されるのを控え、様子見気分から上値が重い展開になると予想する。前日の香港市場は米利下げ観測を手がかりに続伸した後とあって、中国の景気後退に対する懸念が根強い中、イベントを前に目先の利益を確定する売りが相場の重荷になる可能性がある。米中貿易問題を巡っては、トランプ米大統領が米国から農産品を買っていないとして中国に「がっかり」とツイッターに投稿。米中交渉再開の先行き不透明感が根強い。
11日の香港株の米国預託証券(ADR)は、IT大手のテンセント(
00700)、中国国有銀行の中国建設銀行(
00939)、保険大手のAIAグループ(
01299)、中国平安保険(
02318)などの大型株が香港終値を下回って引けた。港株のADRにサヤ寄せすれば、ハンセン指数は前日終値を100ポイント近く下回る水準で寄り付くことになる。