2016-10-21 |
中国/政策/農林・水産 |
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中国政府、農業現代化の5カ年計画を公表
中国の国務院(内閣に相当)は20日、第13次5カ年計画の期間に農業の近代化を進める施策や目標を定めた「全国農業現代化計画(2016−20年)」を発表した。主な施策は次の通り。
◇農業の転換と高度化:作物と生産地域の構造調整を推進。食糧生産機能区や重要農産物生産保護区などを設置し、食糧安全保障を強化する。
◇技術と設備、IT化水準の向上:自主的なイノベーションを促す環境を整備する。種苗分野で研究成果の権益改革を進め、国際競争力を持つ種苗会社を育成。農業技術の研究成果を移転するサービスセンターや国家農業科学技術パークを建設する。農業の機械化を一段と推進。農業の「インターネット+」実施を加速。2020年までに農業IoTなどのIT応用比率を17%、農村インターネット普及率を52%に高める。
◇農業農村改革の深化:集団所有権と農家請負権、土地経営権の「三権」を分離する法体系を確立。農村請負地の登記作業を2018年までに完了させる。都市に移住した農民が土地請負権を有償で手放す制度の実施を、一定条件下で地方政府に認める。また、土地経営権の売買や請負地の交換などを活用した経営規模の拡大を積極的に進め、農地が細分化されている問題の解決と、機械化による生産効率の向上を図る。農村集体(土地保有権を持つ農業集団組織)財産権制度の改革を深化。農村集体が経営する建設用地と国有建設用地が市場で同等に取引されるようにする。
◇均衡がとれた農業の発展を推進:農村で1次産業と2次産業、3次産業が融合した発展を実現。農産物の生産と加工の共同推進や農産物市場流通体系を整備する。新たな経営主体と、電子商取引プラットフォームや標準規格体系、コールドチェーン物流と組み合わせ、2020年末に農業総生産に対する農産物のオンライン小売り額の比率を8%へ高める。農村の山河や田園風景、郷土文化を生かしたエコリゾート農業の開発にも力を入れる。また、1・2・3次産業融合先行区や農業産業化モデル基地となる農村を建設する。
◇農業の持続可能な発展:耕作地や用水など資源保護と生態修復を推進。化学肥料の使用量を増やさず、家畜のふんの再利用などを活用して、農業環境の保護を強化する。農産物の品質と安全性確保に向け、農薬や飼料などの電子追尾監視制度の導入を検討する。
◇海外との協力を拡大:「一帯一路」(海と陸のシルクロード)周辺国家と農業投資や貿易、技術、生産能力の分野で協力。生産条件で優位にある国の農産物を、不足している国へ輸出する。国際協力とブランド力を備えた生産・流通会社と、国際農業集団を育成し、海外事業を展開させる。企業が海外の資産や権益を担保に資金を借り入れることを支援。一定条件下で国内外での上場や債券発行などによる資金調達を奨励する。保険会社が農業の海外協力に関する保険商品を開発することも支持する。貿易面では、果物や茶葉、水産物などの優位を固め、国際的な影響力を持つ農産物ブランドを育成する。グローバルな貿易ルールの制定に積極的に参加し、重要な農産物の輸入監視や国内農業の保護、輸出補助金などを判定する制度を強化する。
◇民生福祉の充実:農業の発展を通じた貧困対策を推進。農村の飲料水など基本的インフラを整備し、都市と同等の公共サービスを実現する。